ぼくは新聞や雑誌のコラムに、全米のすしバーへ向けてトルネードロール(野茂ロール)、そして去年はイチロールを提案する記事を書いたことがある。ロサンゼルス界隈のジョークが通じるすしバーでは、それぞれが趣向を凝らしたトルネードロールを新しくメニューに加えた。
昨年の夏、シアトルのすしバーでデビューを果たしたイチロールを、NHKが全国放送で紹介していた。イチロールを創作するにあたって、白身魚のスズキをあしらうと、鈴木イチロールの一丁出来上がり。
すしバーの前に座って、一度元気よく言ってみたい。
「ハレルヤロール一丁! 」
中身は九種類のすし種(御霊の実)が、美しく豊かに輝いている。
一昨年の夏、小さな修養会で随分ショッキングな証しを聴いた。この証しは牧師を通して、信徒の姉(しまい)の証しが語られたのだが、仲立ちする前の牧師には些か躊躇いがあったようだ。
「姉が教会で公に語られた証しですから、そのお証しをここで口外しても差し障りはないと思います。名前は公表いたしませんが、この証しを皆さんにシェアしながらメッセージを取り次ぎます」
牧師はこのように前置きをしてから、説教の口火を切った。
A子さんは女性ながら、九州では敏腕刑事としてその名を知られていた。暴力団の抗争事件が相次ぐ中で、女デカのA子さんは九州にアジトがある広域指定暴力団の親分をしょっ引いてしまった。証拠も十分に整った所で親分は起訴されて、刑務所で数年間臭い飯を喰うことになった。
激怒した親分は出所後、A子さんに報復を企てた。このような場合、刑事たちと暴力団との間で、暗黙の了解があるのだという。いわゆる替え玉で、決して親分を引っ張らないで、ナンバー2か若頭をしょっ引いてくる。
生命の危険を感じたA子さんは、本部長の指示に従って国外へ非難したのだが、その報復のやり方が尋常ではなかった。A子さんが雲隠れしたことを知ると、親分は怒りを爆発させて彼女の両親、兄弟、親戚、姪や甥にあたる嬰児を次ぎ次ぎに殺害して行く。
日本の警察からは一向に帰国命令が出ないまま、現在、A子さんは南カリフォルニアの知己の住居に身を寄せている。
「正しいことをしている私が、どうしてこのような酷い目に遭わなければならないのでしょうか」
心身ともに憔悴し切ったA子さんの悲痛な叫びが、メッセージを取り次ぐ牧師を通して、ぼくの胸中をやり切れない思いにさせていた。
A子さんは当地で受洗、クリスチャンになられて毎日元気に過ごされているそうだが、やり場の無いA子さんの心情と、この事件で天に召されたご家族のために、どうか心の底から、読者諸氏にお祈りを捧げてもらいたい。
しかしながら、このような悲惨な逆恨み事件が、現実に起こっていること事態が不思議に思えてならない。先進国であり法治国家の日本で、まるで、さながら小説や映画のようである。
何故日本の警察は暴力団に対して、こうも弱腰なのか。この親分の行動は、まさに狂気の沙汰である。多分、この事件はオフレコで、警察はメディアをも翻弄しているのだろう。
正義よりも自分の進退、人の命よりも自分の出世、そして世俗的な欲望に生きている人間が、国の治安を治めているのである。
「しめしめ」
羊の衣を被った狼はほくそ笑んでいるが、神様は総てをお見通しなのである。
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