2003年4月1日火曜日

『星の声』

ぼくは限りなく美しい星を求めて
夜毎
森羅万象の彼方に見果てぬ夢をちりばめた

やがてぼくは
紺青(こんじょう)の月影に身を潜めて
星星が飛び交う銀河を流浪した

ある晩
ぼくの肉眼が
突然空中に飛び出してしまった

二つの眼球は
ぼくの感情と共に弾き飛ばされて
現代を超え
異次元の波に乗り
辺りを見渡すと星斗の果てに辿り着いていた

やがて時は止まり
ぼくは至上のエクスタシーに抱擁されてしまった
蒼い光彩を放つ奇妙な塵が
白銀の巨星の群れをブルーに染めると
愛(うるわ)しい輝きを瞬かせた

それは正しく
ぼくが探し求めていた
宇宙で一番美麗な星だった

驚くなかれ
人間は
その星屑の上で長い歴史を刻んで来たのだ

それから
ぼくは星の声を聞いた


・・・ 一人も滅びないように
人人のこころの中に
永遠の十字星が生きつづけているというのに ・・・


星の涙がぼくの瞳にぽつりと落ちると
墨色の空宙に
すさまじい勢いで
銀無垢のエレジーが降りはじめた

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