2003年5月2日金曜日

第二十一回 名前

先日、来米したばかりの知己から、同行の女性を紹介された。名前はミキミキ。
「愛称ですか」
と、尋ねると、美樹さんが三木さんと結婚して、フルネームがミキミキになったと説明してくれた。

なるほど、これは面白いとぼくは思った。昔、阪神タイガースに真弓という名字の選手がいたが、真由美さんが真弓さんと結婚したらマユミマユミ、美和さんが三輪さんと結婚したらミワミワ、真紀さんが牧さんと結婚したらマキマキだ。
この四人が同時に顔を合わせたら一体どうなるのだろう。
「わたしミキミキです」
「初めましてミワミワです」
「マキマキですよろしく」
「遅くなってすみませんマユミマユミです」
名前を聞き間違えて、みんなでマイムマイムを踊りだした。

世の中には随分と面白い名前があるものだ。野村きぬた先生はぼくの中学時代の英語教師。生徒たちの間では、みんなが先生の名前を反対読みして、「むらのたぬき」と呼んでいた。クラスで飛切り美人だった小池恵子さんの名前は、上から読んでも下から読んでも、こいけけいこさん。
アメリカで、珍しい性の日本人女性と知り合ったことがある。
「で、あなたの名前は」
「材木屋です」
「お父さんの職業なんか訊いていないよ」
「ですから、材木屋です」
なんと、彼女の名字は材木屋だった。

イタリア人の男性の名前にヨシコというのがある。ビバリーヒルズのロデオ・ドライブに少しくだけた貴金属店があるが、ここの店長の名前がイタリア出身のヨシコさん。日本人観光客が入って行くと、
「わたしの名前はヨシコです」
と日本語で話しかけてくる。観光客が笑い出したところで、店長は透かさず名刺を差し出して、自分の名前がヨシコであることを証明する。そこでまた客は笑い出す。てなぐわいである。

もう大分前の話しになるが、それだけでは押しが弱いので、観光客が何も買わないで帰ろうとしたら、
「好きです 好きです 好きです 好きです ヨシコさーん」
現地のガイドさんが、古いギャグとそのイントネーションを店長のヨシコさんに伝授していた。

ところで、リトル東京にAzusa Streetという名前の通りがあるのをご存知だろうか。場所は日米劇場の北隣、セカンド・ストリートと並行している。このアズサ・ストリートは全長100メートルにも満たない短い通りだ。どうしてこんな通りに名前が付けられているのか。

じつはリトル東京の『アズサ』は聖霊発祥の地として、全米でも非常に名高い土地柄である。毎年記念日には、多くの教団関係者が集って式典が催される。メディアもこぞって、このニュースを全米に伝えている。だが、どういう訳か、日系の教会(牧師)、やクリスチャンがこの式典に参列したという話を聞いたことがない。それどころか、リトル東京の『アズサ』が、聖霊発祥の地であることを知る在米日本人クリスチャンの数は稀である。

アズサとは日本人にも馴染みやすい名前だ。しかもリトル東京に、主は聖霊発祥の地をお与えになった。これは一体どういうことなのか。「聖霊来たれり、聖霊来たれり、わが同胞に、日本の国に聖霊来たれり!」、リバイバルに向けて、われわれがリトル東京の聖霊のうねりを復活させようではないか、いざ!

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